ITパスポート企業と法務

10 統計情報の利活用

ITパスポート

 

母集団

調査や分析の対象となる全体の集団。

標本はこの母集団から一部を取り出したもの。

母集団の特徴を知るために統計が使われる。

例:全国の高校生を対象にした意識調査の「高校生」全体が母集団。

 

標本抽出

母集団から一部を取り出して調査に使うこと。

調査のコストを下げつつ、全体の傾向を推測できる。

抽出方法によって結果の信頼性が変わる。

例:5000人の中から100人を選んでアンケートを実施。

 

国勢調査

国が行う全数調査の一つで、日本に住むすべての人を対象に行う調査。

5年ごとに実施され、人口や世帯の実態を把握する。

統計の基礎資料として政策にも活用される。

例:世帯数や就業状況などを全国的に調査。

 

アンケート調査

特定のテーマについて人の意見や情報を集める調査。

選択肢や自由記述で回答してもらい、傾向を分析する。

対象者の選び方で結果が変わるため注意が必要。

例:授業満足度に関する生徒アンケート。

 

全数調査

母集団のすべてを対象に調査する方法。

高い精度が得られるが、コストと手間がかかる。

国勢調査などで使われる。

例:学校の全校生徒に対してテスト結果を集計する。

 

単純無作為抽出

母集団から完全にランダムに標本を選ぶ方法。

すべての対象が同じ確率で選ばれる。

最も基本的な抽出法でバイアスが少ない。

例:くじ引きで無作為に100人を選ぶ。

 

層別抽出

母集団をいくつかの層に分け、それぞれから標本を抽出する方法。

層内の偏りを避けて、より代表性の高い標本が得られる。

性別や年齢などで層を分けることが多い。

例:男女別に人数をそろえてサンプルを取る。

 

多段抽出

複数の段階に分けて標本を抽出する方法。

最初にグループを選び、その中から個人を選ぶといった形式。

大規模な調査でよく用いられる。

例:まず地域を選び、その中の世帯を選ぶ二段階の抽出。

 

仮説検定

データに基づいて仮説が正しいかどうかを判断する方法。

事前に立てた仮説を統計的に検証する。

判断には有意水準が使われる。

例:「Aの商品はBより売れている」という仮説をデータで検証。

 

有意水準

仮説を棄却するときに許容する誤りの確率。

通常は5%や1%が用いられる。

この値以下の確率で起きたら「有意」と判断される。

例:p値が0.03なら、有意水準5%で仮説を棄却。

 

第1種の誤り

本当は正しい仮説を誤って棄却すること。

「ある」と判断したが、実は「ない」ケース。

有意水準がこの誤りの確率になる。

例:AとBに差がないのに「差がある」と判断してしまう。

 

第2種の誤り

本当は間違っている仮説を誤って採択すること。

「ない」と判断したが、実は「ある」ケース。

第2種の誤りは検出力とのトレードオフ。

例:AとBに差があるのに「差がない」と見逃す。

 

精度と偏り

精度はばらつきの小ささ、偏りは真の値からのズレを表す。

どちらも分析の信頼性に影響する重要な概念。

精度が高くても、偏りがあると誤った結論になる。

例:いつも同じ方向にズレている測定器は偏っている。

 

統計的バイアス

データ収集や分析の過程で生じるゆがみ。

正しい推定を妨げる要因になる。

選択バイアスや情報バイアスが代表的。

例:特定の属性の人ばかりを対象にしたアンケート。

 

選択バイアス

調査対象の選び方が偏っていることで起こるバイアス。

代表性のないサンプルが選ばれると正しい推定ができない。

標本抽出方法が原因になることが多い。

例:ネット調査でネットを使えない高齢者が除外される。

 

情報バイアス

得られた情報が不正確または偏っていることによるバイアス。

質問の仕方や回答者の記憶ミスなどが原因になる。

結果の解釈を誤る原因になる。

例:過去の出来事を正しく思い出せずに答える。

 

認知バイアス

人間の思考や判断に偏りが生じる心理的な傾向。

直感や先入観によって合理的判断が妨げられる。

意思決定や情報の解釈に影響する。

例:最初に聞いた情報を重視してしまう「アンカリング効果」。

 

BI(Business Intelligence)

企業の意思決定を支援するためのデータ分析の仕組み。

蓄積されたデータを可視化・分析し、経営判断に活かす。

BIツールでダッシュボードやグラフを作成する。

例:売上データをBIツールで部門ごとにリアルタイム表示。

 

データウェアハウス

さまざまなシステムのデータを統合・蓄積した大規模なデータベース。

分析に適した形式で整理されている。

BIやデータマイニングの基盤となる。

例:販売、在庫、顧客の情報を一元管理するための仕組み。

 

データマイニング

大量のデータから有用なパターンや関係を見つけ出す技術。

統計、機械学習、AIなどを活用する。

予測や分類、異常検知などが目的。

例:購買履歴から「一緒に買われやすい商品」を発見。

 

ビッグデータ

非常に大きく多様で、処理が難しいデータの集合。

量(Volume)、速度(Velocity)、多様性(Variety)の3Vで特徴づけられる。

従来の手法では扱えないため、AIやクラウドが活用される。

例:SNSの投稿、GPSデータ、センサー情報などをリアルタイム解析。

 

テキストマイニング

文章データから意味のある情報やパターンを抽出する技術。

単語の頻度や共起関係、感情などを分析する。

自然言語処理を使う場合も多い。

例:顧客の自由記述アンケートを分析して満足度の傾向を把握。

 

データサイエンスのサイクル

問題設定→データ収集→分析→解釈→活用という一連の流れ。

単なる計算ではなく、課題解決のためのプロセス全体を指す。

サイクルを回して改善を続けることが重要。

例:売上減少の原因を分析し、施策を試して再評価する。

 

データサイエンティスト

データから価値を引き出し、意思決定を支援する専門職。

統計学、プログラミング、ビジネス理解の3分野の知識が求められる。

問題解決能力とコミュニケーション力も重要。

例:顧客データをもとに売上予測モデルを構築し、提案する。

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